都市での生活が肌に合わず
親に見捨てられた猫と一緒に
持ち主が手放そうとしていた畑を耕しながら
住人がいなくなった山の麓の空き家に住んでいます。
質素で静かな生活の中で
地球が創り出している
何者にも加工されない美しさを
味わっています。
相棒の猫と、小さな畑が
私と自然を繋ぐ仲介人です。
捨てられ人間の価値から解放されたもの、
人知れず目立たない存在、
自然の厳しさとそっけなさ。
そこには目を凝らさないと気づけない
贅沢な美しさがありました。
こんな世界が
都市での生活の中でも
隣にいてくれたら
どんなに心強かっただろう。
穏やかで美しい毎日が
自分の日常になっていく中で
やがてこの世界を
都市の友人や家族と共有したいという
思いが芽生えました。
そこで、
畑で育てた野菜や
日々の制作の中で生まれた作品を
都市へ届けることを始めました。
それが【山と畑と猫】の始まりです。
新しさが重視され、
効率や実用性が求められる世の中で
この作品たちは、ともすれば真逆をいく存在で
意味を成さないのかもしれません。
しかし少しだけ、
役に立つとか立たないとか
そんな価値観から抜け出して
自分の素直な感覚や思いと向き合ってみる。
お手元に届いた作品が
そんなささやかで豊かな時間の
道標になれたら嬉しいです。